辞典の魅力!【じてん・の・みりょく・!】

  • 辞書の魅力とは

    すべてのものの始まりは言葉です。学校教育でも、国語はもちろん、社会、数学、理科、その他すべての教科が、言葉がなければ始まりません。言葉は、社会的な約束ですから、習わなければ使えません。

    言葉は習うものです。昔から使われ続け、現在も生きているものです。現代に生きている私たちは、まず、そういう言葉を習得し、正しく使わなければなりません。意味や使い方の分からない言葉があったら、辞書で調べるのです。

    言葉の多くは昔から使われ続けてきたものですが、時代が進めば、新しく生まれる言葉や新しい意味が加わります。それを増補するために改訂が行われます。改訂は10年に1回くらいが普通です。もちろん項目の増補、削減だけではありません。各項目の解説内容の見直しも大切です。たとえば、『明鏡国語辞典 第三版』の改訂では、「いいだしっぺ」の項目にこれまでの辞書にはない解説を試みました。

    辞書を引くのは楽しい! 自分の知らなかった言葉の意味や使い方を知ることができますが、それだけではありません。自分の気づかなかったことまで知ることができます。ともかく、言葉はすべてのものの始まりです。その言葉の意味や使い方、その他もろもろのことを知ることが楽しくないはずがありません。

    電子辞書が登場し、パソコンやスマホにも搭載されています。50音順で引く必要がないから便利だという若者さえ出て来ています。活字の本に比べてかさ張らないなど利点もあります。書く場合も筆、ペンからワープロ、パソコンに変わりました。電子機器への移行は世の流れでしょう。しかし、活字本の辞書は落ち着きます。誰の編集かも大切です。内容が豊富な活字本辞書の魅力はまだまだ衰えません。活字本辞書あっての電子辞書です。

    2021年4月19日

  • 新潟産業大学名誉学長 北原保雄

    北原保雄

    東京教育大学大学院修了。文学博士。筑波大学名誉教授(元学長)。新潟産業大学名誉学長。日本語ブームを巻き起こした『問題な日本語』で知られる。